珈琲記

井上 誠 著

昭和251028日印刷

昭和251110日発行

発行所 ジープ社

東京都中央区銀座西21


珈琲の珍しい本が私の家にあったので書き写しました(全258ページ)
渡邊珈琲販売所 渡辺 和久

以下写し(縦書きを横書きにしました)


ここに描かれた

珈琲への愛情を

地の上にあるすべての

珈琲愛好家に捧げる


序文

私は珈琲を非常に愛好するものの一人ですが、珈琲についての何の知識もない。淹れ方も知らず、何と何をミックスしたらよろしいのか、濃度はどのくらいが自分にとってもっとも好ましいのか、それも(わからので、ただもうすきでのむというだけである。だから、珈琲について語る資格はない。

それにも拘わらず、わたしは珈琲に関連しての興味はいろいろもっている。

たとえばバルザックは大にコーヒーをのみながら執筆したとか、十七、八世紀のころの英国では文人政客が珈琲店をクラブとして利用したとか、ハインリッヒ・クーノーには

「珈琲店」(カフェー・ホイゼル)という本があって、それにはフランス大革命と珈琲店との関係を書いてあったとかいった点で私は興味を持ったのである。わけても、ハズリットの随筆で「珈琲店政治家」

という一文などはとても面白かった。

 フランス語のうまい友人が来てカフェーと発音しないで、キャフッェといいたまえなどと訂正されもした。

   それはさておき、井上君は、学問としての珈琲の本を書いた。歴史性と科学性とを経緯として。

  こうした本は珈琲を他愛もなく愛飲はしていたが、珈琲についての知識のない私にいろいろと目を開いてくれた。珈琲の歴史と知識とによって、私は縦からも、横からも珈琲を知ることができた。

  また、めくら滅法にコーヒーをのむ私のような仲間もこんにちは数多いこととも思うが、その呑気な連中も井上君のこの本をよむと珈琲そのものまで直ちに味が変わることはないにしても心ゆたかに珈琲にたいすることが出来るし、いろいろかんがえるようになるだけでもいい。

 珈琲樹の世界的分布がどうなっているかを知っただけでも面白いことだ。

 この本は有益でもあるし、面白くもある。珈琲文化を知ろうとするもののとってはきわめて好ましい侶伴である。それ故に、私はこの書に序して極力すいせんするものである。


                             新 居 格



目次

  

交誼の飲物としての珈琲・・・・・・・・・・・・・・・1

 

珈琲の歴史と地誌



2、近世の目覚め・・・・・・・・・・・・・・・48


3、珈琲樹の伝播・・・・・・・・・・・・・・・59


4、自然の世界・・・・・・・・・・・・・・・・71


珈琲の樹


1、珈琲の樹と珈琲の実・・・・・・・・・・・97


2、珈琲産地と各珈琲の特質・・・・・・・・109


  1. 珈琲の焙煎と配合・・・・・・・・・・・119


珈琲を飲む・・・・・・・・・・・・・・・・131


1、珈琲をたてる・・・・・・・・・・・・133


2、東方と西方・・・・・・・・・・・・・145


3、珈琲の研究・・・・・・・・・・・・・159


4、珈琲のたて方・・・・・・・・・・・・170


日本の珈琲・・・・・・・・・・・・・・・187


1、「コーヒー」の仮名書由来・・・・・・189


2、珈琲の渡来・・・・・・・・・・・・・191


3、カフェ抒情・・・・・・・・・・・194


4、珈琲興亡記・・・・・・・・・・・198


5、赤裸な目覚め・・・・・・・・・・206


6、日本の珈琲輸入年表・・・・・・・209


 「コーヒー」余談・・・・・・・・・215

   1、「コーヒー」の語源とその転化・・・・・211


   2、茶・煙草・珈琲余談・・・・・・・・・・224


付録

 珈琲関係年表・・・・・・・・・・・253


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